
鳥の世界から、建設の世界へ
大学で研究していたのは、鳥のこと、特に渡り鳥のことでした。どこから来て、どこへ行くのか。なぜわざわざ何千キロも移動するのか。同じ場所にいる同じ種類の鳥が、違う経路を辿るのはなぜなのか。そういったことを、遺伝的な違いから解き明かそうとしていました。
私の研究対象だった鳥は川を居場所としていて、そこにはたいてい堤防や橋など、人の営みに関係したものがありました。フィールドワークではもっぱら空に目を向けていましたが、地面にも着目してみるとなにか違うものが見えてくるかもしれない。そう思ったのが建設業との出会いでした。

人が喜んでくれるものを探しながら
目標というほど近くはないので、“野望”と呼ぶほうがふさわしいかもしれませんが、面白いことをしてみたい、と思っています。少し前に「鳥界隈」では、隼が遺伝的には鷲や鷹ではなくインコに近かったという研究結果が話題になりました。そんな新しくて、まだ誰も知らないようなことを見つけ出すような仕事です。もちろんビジネスなので「お金」が重要。面白くて、かつ人々がお金を払ってくれるもの……それを見つけるのは簡単ではありませんが、「人が喜んでくれること」「人が欲しがっていたこと」という視点を忘れずにいれば、道は開けるのではないかと考えています。
土に関することなのか、情報に関することなのか。それともなにか別のことなのか。社会が求める価値についての理解を深めながら、面白いことに向かって進み続けたいと思います。